「修繕計画」の基礎知識5

「修繕計画」の基礎知識5

2017/02/16

 
読んでいただいてありがとうございます。
昨日は余談で「ペヤングチョコレート焼きそば」をアップしましたが、
いまだに手つかずのままになってます。
「修繕計画」の基礎知識も今日を入れてあと2回、
もしかしたら3回ぐらいで終了する予定です。
あと少しお付き合いください。
 
「人」は若いときは少々無理しても翌日には回復、いつも通りの体調に戻ります。
いままでは気にもしなかった病気にかかったり・・・
それが年を経るにしたがって体調管理、メンテナンス、ケアの仕方も変わってきます。
建物も同じでいつまでも同じ修繕を繰り返すというわけにはいきません。
いままではなんともなかったところが壊れたり、修理したところが再発したり・・・
計画修繕は適切な時期に健康診断(建物診断)を受診し、適切に治療(修繕)すると
いうことであり、人には年齢に応じた様々な検診があり、悪いところがあれば、
早めに治療します。
まだ、癌がみつかって、まだ大丈夫といって癌のステージ4になるまで放っておく人は
いないと思います。
が、建物も永遠に不滅というわけではありません。
経年によって計画に対する考え方も変わってきます。
ということで、今日は「修繕計画」の基礎知識 5 「経年によるタイプ別長期修繕計画」に
ついて書いてみようと思います。
 
1)築0年~5年
  分譲会社が作成。重要事項説明時までに購入者に提示。建物も完成していない
  修繕積立金基金を含む修繕積立金額算出の根拠。計画の精度は全般的に概算
  2回分の大規模修繕と30年周期の設備改修を含むため、計画期間は30年以上。
2)築6年~12年 ※見直しが行わていないケースが多い
  以降は管理組合が作成。
  第1回めの大規模修繕を前提に修繕対象項目はやや詳しく検討し、修繕対象を
  明らかにする。
  修繕記録の把握、アンケート調査、目視調査を行い、計画に反映させる。
  修繕積立金が不足している場合もあり、見直しも重要な検討事項となる。
  修繕の方針新築時の水準に回復させること。
  大規模修繕が間近に迫っている場合は、劣化状況の診断を踏まえた修繕時期の
  設定、修繕対象項目について具体的な仕様や費用を踏まえた計画にする必要が
  ある。(短期修繕計画の作成
3)築13年~18年 ※第1回目の大規模修繕後の長期修繕計画
  大規模修繕工事の結果を踏まえて第2回目の大規模修繕に備えた計画を作成。
  ※大規模修繕工事の前、後では、工事を先送りしたもの、前倒ししたものや実際の
    工事の項目、費用を考慮して見直しをする
  修繕が近づいている設備関係の計画修繕の実施に備え、共用、専有の区分と修繕
  対象項目の区分について明らかにする。
 
4)築後19年~24年
  ※外壁等の第2回目の大規模修繕と設備を加えた大規模修繕前の長期修繕計画
  第1回目の大規模修繕と仕様が異なる場合がある。
  給水設備の更生・更新のほか、排水設備などにも制度を上げた計画が必要。
  給水管は水質、排水管は住民の使用方法等にとって大きく違ってくる場合があるため
  詳細な設備診断を行い計画に反映させる必要がある。
  建築関係の工事のほか設備関係の工事が新たに加わるため、工事費が大幅に嵩む
  時期に入るため、早めの修繕積立金の値上げなど対策を検討する必要がある。
  また、この時期から居住者の年齢層の変化や建物の使い勝手の改善などグレード
  アップの要望がある場合があり、アンケート等によって居住者の要望を把握し、
  具体的検討を行い、反映させる必要がある。
5)築25年~30年
  第2回の大規模修繕工事の結果を反映させる。
  また、新たに建具や金物関係、設備等については電気設備や昇降機などについて
  詳細な検討が必要になる。
  また、前回同様、住民の高齢化への対応、居住性能の改善などが求められ、グレード
  アップも重要な検討事項となる。
6)築31年~36年※外壁等の第3回目の大規模修繕工事前の長期修繕計画
  グレードアップと建て替えを意識した計画が必要になる。
  今後建物をどうするのか?都度、修繕することを選択するか建て替えを考慮した修繕
  内容を検討するのか費用対効果を踏まえた検討が必要。
7)築37年~
  まだ、実例が少ないため、予想できない要素があることも考えられるが、建て替えと
  グレードアップを加味した大規模修繕の検討が必要になる。
 
だいたい以上のようになりますが、建物のできた年(耐震基準などの法改正)や形状(低層
・高層・超高層)や使用している材料・材質などによって異なる場合があります。
また、30年程度経過したマンションにおいては、過去に十分な修繕を行っていないケース
もあり、緊急を要する工事を整理し、優先的に実施するように検討する必要があります。
例えば、エレベーターについては定期点検が行われていから問題ないと思われる管理組合
もありますが、一般的な製造期間は20年程度、部品の保管もさらに10年程度となっている
ことから、いざという時に対応できないなんていうこともあります。
 
次回からは「長期修繕計画見直しのポイント」について説明します。