「修繕計画」の基礎知識4

「修繕計画」の基礎知識4

2017/02/15

こんにちは、「USのK」です。
今日は「修繕計画」の基礎知識の4回目
「修繕対象項目」の前に「長期修繕計画の種類」について触れておきたいと思います。
まず、作成時期によるものとして
1)管理開始時(分譲時・入居時)  2)経年の浅い時期(入居後数年、組合活動定着期)
3)大規模修繕工事の数年前  4)大規模修繕工事の数年後
使用目的によるものとしては
・マンションの計画修繕の予定表・目安
・修繕積立金の設定、見直し
1)積立金算出の根拠 : 計画期間の各年度の必要修繕費を求め、これをもとに修繕
                 積立金等を算出するため
2)積立金の妥当性の検証
3)積立金改定の算出根拠 : 現状の修繕積立金額から将来の修繕の可否を推定し、
                    修繕積立金改定の根拠を示すため
などがあげられますが、後ほど建物の経年による長期修繕計画のタイプについて触れたいと
思います。
 
では、「修繕対象項目」について
1.主に修繕および改良を目的としたもの(基本的な対象項目)
【建築関係】
①屋根防水  ②床防水(共用廊下・階段、バルコニー等)  ③外壁等
④鉄部等塗装  ⑤建具・金属関係  ⑥共用内部(壁・天井・床 塗装または張替え)
【設備関係】
⑦給水設備  ⑧排水設備  ⑨ガス設備  ⑩空調・換気設備  ⑪電気設備
⑫情報・通信設備  ⑬消防設備  ⑭昇降機設備  ⑮立体(機械式)駐車場設備
※⑭昇降機や⑮駐車場設備については、メーカーや点検会社にメンテナンス計画の
  提出を求めることができる場合がありますので、管理会社に確認するとよい。
【外構関係】
⑯外構・付属施設(フェンスや舗装、駐輪場、各種遊具など)
【その他】
建物診断、修繕設計・工事監理費用
長期修繕計画作成・見直し費用
 
2.グレードアップ的な目的としたもの
マンションの将来像を考慮した内容で、工事費、計画内容の検討に要する費用(設計
調査費)などについても反映させる必要があります。
とくに第2回目の大規模修繕が終了した建物については魅力的なマンションに再生する
機会となります。
また、目先の費用だけではなく、耐久性の向上や省エネ化を図るなど将来的なコストに
ついても考慮する必要があります。
その項目例としては以下のものがあげられます。
1)耐震性向上 : ピロティに耐震壁増設、柱に鋼板や炭素繊維を巻き、強度をあげる。
            玄関扉、丁番等を耐震性の高いものに改修
2)バリアフリー : スロープや補助手摺の設置、エレベーター設備の増設
             エントランスドアを自動扉に改修
3)省エネ対策 : 屋根や屋上を断熱または遮熱仕様の防水に改修
             外壁やガラスを断熱仕様に改修
            玄関ドアを断熱仕様にするなど気密性の高いものに改修
            宅配ボックス設置
4)エコロジー対応 : 雨水再利用、太陽光・風力発電、蓄電池設置、屋上緑化
5)防犯性向上 : 玄関(エントランス)のオートロック化、防犯監視カメラ設置、
            玄関・エレベーターの防犯性能の改善、共用廊下・階段室等の
            死角改善
6)利便性向上 : IT化、駐車場・駐輪場増設またはシェアリング、宅配ボックス設置
            電気・ガス容量のアップ
7)防災性の向上 : 防災倉庫、蓄電池・発電機の設置、非常時電源、照明の確保
8)耐久性・維持管理 : 給水方式の変更、サッシ・窓ガラスの更新、集会室・管理室
                等の増設
など。
以上に挙げた修繕対象項目については、管理会社や設計事務所・修繕コンサルタント
などに丸投げするのではなく、自らの将来像として考える必要があります。
場合によっては、アンケート等で住民の要望を聞き取り、管理組合として対応する必要
があります。
 
ありがとうございました。
次回は、「経年によるタイプ別長期修繕計画」について書きたいと思います。