「経常(普通)修繕」と「計画修繕」 その3

「経常(普通)修繕」と「計画修繕」 その3

2017/02/09

こんにちは、USのKです。
今日で3回目の「経常(普通)修繕」と「計画修繕」です。
ほぼ「計画修繕」の話になってますが、
昨日、、「予防保全」がいいのか「事後保全」にするかは
劣化度や緊急性、工事に必要な足場の要否などを考慮し判断する必要がある
という話をしました。
上記のほかにも考慮すべき点があります。
皆さんが戸建住宅の所有者ならば、納得の上なので、いつどこをどのように修繕するかは
好きにやればいいこと、でも、マンションは違います。
なぜなら、「経常(普通)修繕」と「計画修繕」その1で書いたように建物は所有者の
「共有財産」であり、住民さんが快適に安心して生活する権利があり、その目的のために
努力をしなければならないからです。
たとえば、昨日も触れましたが防水工事といってもバルコニー(ベランダ)と共用廊下・階段
そして屋上(屋根)といった工事項目があります。
昔はバルコニーや廊下は「準外部」扱い、つまり雨がかかっても当たり前の部位。
だから、防水なんていらないというのが普通。
でもいまは、洗濯物に上階からの水が・・・とか鉄筋を保護するためとか防水するのが
当たり前になりました。
でも、共用廊下・階段は足場がなくても工事はできなくはない
しかし、バルコニーはどうですか?
都度、作業員が個々のお部屋に入らないと作業はできません
作業工程にあわせて都度、在宅していただけますか?
それとも、そのためにだけ足場を仮設しますか
また、屋根防水はどうですか?
自分は最上階に住んでるわけじゃないので屋根から漏水は関係ないと言えますか?
給排水管もおなじように自分は最上階に住んでいるんでどうなっていようと関係ない
といえますか?
外壁についても、建物の外壁の階と階の間に水平(横)目地があります。
「打ち継ぎ目地」と呼ばれるものです。
鉄筋コンクリートの建物はコンクリートを下から上に積み上げて作られます。
コンクリートはその性質上、一度固まるとコンクリート同士の接着力は極めて弱く
亀裂(ひび割れ)が生じやすくなります(肌別れ亀裂といいます)。
そのため、目地にはシーリング材(コーキング材ということも)という固まるとゴム状に
なり、弾力性があるものをあらかじめ充填し、室内への漏水を防ぐ役割があります。
その耐用年数は10年程度とされ、日当たりのよい場所ではさらに劣化が早まります。
外壁の修繕を行う場合、足場が必要になりますが、今はまだ大丈夫だから除外するのか
次の修繕が10年先だから耐用年数も過ぎるので範囲内とするのか
前述した屋上(屋根)の防水も同じ。
足場がなくてもできれば、状態によっては先送りすることもいいです。
できない場合、最上階にお住まいの方は、「漏水ないのなら漏水するまで待とう、
屋上防水」でいいんでしょうか?
共用廊下の照明器具、現在のようにLED化が進み、この際省エネを考えて
全部取り換えよう!というところもありますが、1つ故障したら都度、取り換えられるものは
「計画修繕」にする必要なく「経常修繕」扱いでもかまわないし、「予防保全」でも
「事後保全」でもかまいません。これは管理組合さんが判断することです。
また、劣化というのはひび割れやコンクリートやタイルの剥落、漏水といった直接的要因
だけではありません。
大袈裟に言えば、建物の劣化は完成と同時に始まります。
建物の外観(意匠)や設備の性能についても時とともに変わっていきます。
10年前の建物より今建築されている建物のほうが数段意匠的にも設備性能も上の
物になっている(陳腐化)、これは当たり前のことですが、少しでも改良していくことで、
将来、コスト削減や省エネにつながったり、より良い住環境の整備にもなります。
たとえば、給水方式の変更や住んでいる方の年齢層を考慮したバリアフリー化など。
昔、管理会社に勤務していたころ、修繕積立金の改正の話をしに理事会に出席した際、
ある理事から、「お前ら修繕積立金、値上げして何しようと思ってんだ!」と言われたこと
があります。
これは一部あたりで一部はずれ!
確かに元請で大規模修繕をする会社だったので、大規模修繕をいただくためには
資金不足を解消しておく必要があった。
でも、修繕積立金は管理会社に支払うお金(費用)ではなく、管理組合、
つまり区分所有者が建物を維持保全していくためにためているお金(積立金)であり、
その時点で管理会社がどうこうできるものではない。
ということ。
分譲会社が売りたいがために修繕積立金を低く設定していた「つけ」
昔は積立金基金もなく管理費の10%が相場だったこともありましたから、大規模修繕を
するためには住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)から「借り入れ」
毎月の積立金から上限80%以内の返済。
その返済のため、次の大規模修繕の時もお金が足りないなんてことも・・・
話がずいぶんそれましたが、結論です。
要は、「予防保全」か「事後保全」かなんてしかも、「得」か「損」かなんて決めて考える
のではなく、長期修繕計画を検討するときあるいは工事を検討するときに「建物診断」を
行い、状態を把握したうえで予算とにらめっこして「先送り」するのか逆に「前倒し」するのか
検討するものということです
 
とりあえず、「経常修繕(普通)修繕」と「計画修繕」についてはここまで。
次からは「修繕計画」について触れてみたいと思ってます。
また、よろしくお願いします。

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