「経常(普通)修繕」と「計画修繕」 その2

「経常(普通)修繕」と「計画修繕」 その2

2017/02/08

こんにちは、USのKです。
昨日、「経常(普通)修繕」と「計画修繕」(その1)ということで、それぞれの目的と
違いについて書きました。
簡単にいうと、費用も少額で軽微な修理や交換等で済むものを「経常修繕」といい
管理費会計から支出するということ。
それに対して「計画修繕」費用が高額で工事規模も大きく、耐用年数(修繕サイクル)
を考慮し、あらかじめ実施時期を予想し資金計画を考えたうえで行う修繕でその費用は
修繕積立金から支出し総会での承認が必要ということ。
 
で、今日は「計画修繕」「長期修繕計画」について書いてみたいと思います。
2月5日に「長期修繕計画」と「大規模修繕」について書きましたが、
どうも工事実施の動機は「長期修繕計画」で決まっているからと思っている人が
多いようですね。
昨日も添付しましたが、国土交通省の「標準修繕サイクル」には、さまざまな工事の
修繕サイクルが示されているので、なんの疑問も持たずに・・・というのかもしれませんが
修繕サイクルは建物の立地条件や形状、使用している材料によって異なります
例えば、海に近い場所では海風の影響による塩害等で劣化の進行が早くなったり
解放廊下型のマンションより階段室型のほうが劣化の進行が遅いとか空気が汚れた
都心部より郊外に立っている建物のほうが汚れにくいし劣化しにくいなどなど。
こういった条件を考慮しないで「一般的に」とされているのが「標準」ということです。
また、計画に計上されている修繕費についても作成時から数年であればある程度
正確な金額の予想はできますが、それも20年先、30年先の工事費なんて材料や工法が
どんなものになるのかなんで、かなり精度の低い推定金額にすぎません
つまり、長期修繕計画についても精度を上げるためには「長期」「中期」「短期」と目的に
合わせて、概ね5年ごとが推奨されていますが、こまめに見直す必要があります。
また、工事費用についても郊外の植栽(花壇)に囲まれた低層の建物と都心部の
中高層では現場事務所、資材置場、足場などの仮設物をみても違ってくることは
想像できると思います。
建物に合った修繕計画が必要だということです。
 
「長期修繕計画」は前述したように修繕時期の目安として判断材料の一つだということ。
ここで注意しなければならないのは、本当にすぐに行う必要があるのか?
まだ数年先でもよいのでは・・・?
何れにしても区分所有者を納得させるだけの理由付けが必要になってきます。
そのために「建物調査診断」を行い、その結果を基に実施の有無を判断するという
作業が必要になるということ。
そのうえで、劣化度や緊急性、工事に必要な足場の要否などを考慮し判断する必要が
あります。
もちろん、予算も・・・。
その結果、「予防保全」がいいのか「事後保全」にするのかという優先順位が
決まってきます。
足場なんて大規模修繕の時以外は邪魔で目障り、費用も大規模修繕工事費の
20~30%(現場事務所等を含む)を占めます。
なんども組み立てるものではありません。
したがって、足場が必要な工事は最優先で考える必要があるということ。
多少状態がよくても10年が耐用年数(修繕サイクル)になっているものが
あと10年大丈夫と考えるかどうかということ。
いつでも交換できる廊下の照明器具を交換するのとは違うレベルの話であり、
同じ仕上げでも廊下とバルコニーでは優先順位が変わってくる場合があるということです
「大規模修繕工事」は現在だけではなく、10年先、20年先を考えて、工事範囲や仕様を
決める必要があるということです。
 
つづきはまた・・・

#修繕計画 #修繕積立金 #ECO-ECO